双極性障害2型と暮らす

双極性障害2型、仕事をしながら薬調整をしようとしたが、失敗。2度目の休職者(1年間)。睡眠改善、薬の使い方を調整後、復職。現在挑戦中のきままなブログ

ガチョウと黄金の卵(イソップ物語より)

どうも。

 

いつもこのブログで使うイラストは無料イラストを使わせていただいています。多分、多くの人が目にするサイトだと思います。最近では朝の情報番組なんかでも、取り入れられていますよね。

www.irasutoya.com

便利ですよ。もし、なんか挿入したいなぁと思ったら使ってみてください。

 

さて、なんでこのサイトのお話をしたかと言うと、ポテトの画像をDLしたあと、ボタンを見たら「ランダム」って書いてあったんです。面白そうだと思って押したら、こんなのが出てきました。

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金のガチョウ・・・

えっ?何に使うん??

と、思ったのですが、ふとイソップ物語を思い出しました。

「ガチョウと黄金の卵」

これについて書きたいと思います。実はこれ、仕事で使った話なんですよね。

 

目次

 

1 ガチョウと黄金の卵 の物語

 ある貧(まず)しい農夫(のうふ)が、飼(か)っていたガチョウの巣(す)の中(なか)にキラキラと輝(かがや)く黄金の卵を発見(はっけん)した。最初(さいしょ)は誰(だれ)かのいたずらだろうと思(おも)って捨(す)てようとしたが、考(かんが)え直(なお)し、念(ねん)のために市場(いちば)まで持(も)っていくことにした。すると、卵は純金(じゅんきん)だった。農夫はこの幸運(こううん)を信(しん)じられなかった。翌日(よくじつ)も同(おな)じことが起(お)きた。来(く)る日(ひ)も来る日も農夫は目(め)を覚(さ)ますや否(いな)や、ガチョウの巣(す)に走(はし)っていき、新(あたら)しい黄金の卵を発見した。やがて農夫は大金持(おおがねも)ちになった。ところが、富(とみ)がますにつれ欲(よく)が出(で)て、せっかちになっていった。一日(いちにち)一個(いっこ)しか生まれない黄金の卵が待(ま)ちきれず、ついにガチョウを殺(ころ)し、腹(はら)の中(なか)の卵を全部(ぜんぶ)一気(いっき)に手(て)に入(い)れようと決(き)めた。いざガチョウの腹を開(あ)けてみると中は空(から)っぽだった。黄金の卵はもちろんなく、そのうえ黄金の卵を手に入れる手段(しゅだん)さえも、農夫はなくしてしまったのだ。黄金の卵を生み出してくれるガチョウを殺してしまったのだった。

こんなお話です。

私がこのプリントを作ったのは知的障害を持った子どもがいる状態で配ったので、読めるようにするためにふりがなを振ってあります。そのふりがなが( )になっています。

さて、私はこの物語を読んでもらった後、こういう問いを立てました。

Q1 この話を読んで、どう感じましたか?

Q2 この農夫の失敗は何ですか?

Q3 農夫はどうすればもっとも幸せになれたでしょうか?

 こんな感じです。四角の枠だけ用意して、自由記述にしました。朝に配布して、夕方までに書いて提出してもらいました。

皆さんなら、なんて答えますか?ちょっと考えてもらったら面白いかと思います。私はここの内容に正解は用意していませんでした。

多分、こう読むだろうなぁっていう予測を立てていましたが、柔軟な発想を期待していました。

 

2 この話を読んでどう感じるか?

イソップ物語なので、諭す内容が含まれていることが多いですが、今回は好きに読んでもらって良いと思います。ただ、作成時点での対象は「高校生」です。

高校生なら、どこに着目するのか。

年齢層によって違うので面白いのですが、高校生くらいになると、子どもっぽいものから大人の視点まで広がります。

 

「ガチョウを殺してお腹をさくなんてひどい」

ここに反応する子もいれば、

「ガチョウは黄金の卵を産まない」

という冷めた反応の子もいます。まぁ、この子が農夫なら貧しいまま、物語は何も面白くなく進んでいきますね。

この場合、私は子どもっぽいと思われる「殺すなんてひどい」は面白い展開になっていくと思いました。

 

この話は、この展開で完結していますが、「農夫がガチョウを殺さなかったらどうなったか?」と設定することで話が広がるからです。

もちろん、これが国語の問題であれば、勝手な物語の挿入になるのでタブーですが、ここではそんなことを問うていませんので、OKです。

 

他に面白かったのは、「金に目がくらむのは今も昔も変わらない」という、何かあったのかと思わせる内容でした。「生物学的知識が浸透する前の時代の話だと思った」というのもありました。これはガチョウの腹に卵がたまっているという考えが間違いであるという点から考えていて、情報を受け取って読み取る能力に長けていると言えるでしょう(実際にどういう時代に作成されたかは別として)

 

まぁ、こんな感じです。

 

3 この農夫の失敗はなにか?

この問いはちょっとしたひっかけです。

「失敗」という言葉にとらわれて探すと、「黄金の卵を手に入れようとガチョウを殺してしまい、黄金の卵が手に入らなくなってしまったこと」になります。端的に「ガチョウを殺したこと」も同じですね。「失敗」というマイナスイメージから「殺す」という点に注目が行きやすくなります。

 

もう少し人数は減りますが、出てくるのは「欲が出てせっかちになったこと」を挙げる人もいます。これは「ガチョウを殺す」という行動を指示するのではなく、その行動に至った理由に着目している点です。これも「殺す」から連想された答えと言えます。

 

ほとんどいませんが、次の視点を持つ人もいます。

「黄金の卵を見つけてしまったこと」

これが失敗だと言うのです。

なぜだか分かりますか?

元々、この農夫は貧しいながらも、ガチョウの卵を売るか物々交換を持ちかけることで生計を立てていたのです。ところが、黄金の卵を見つけて、価値観が変わってしまい、「欲が出てしまう」ことになります。それが元に、正常な判断ができなくなって、ガチョウを殺して、裕福な生活にピリオドをうつことになります。

 

ここから導き出されるのは、黄金の卵を見つけてしまった農夫は、一度経験した裕福な価値観から、貧しい状態に戻らなければならなくなります。ところが、黄金の卵を見つけなかった場合は、元の生活のまま続けられます。

 

金銭感覚、生活水準というのは一度高まると低くするのが難しいという発想が前提にあると、このような発想になるのです。この農夫の一生を考えた場合、どちらの方が幸福なのかという視点です。もちろん、一度でも夢を見たのだから幸せだという場合は、卵を発見したことは成功になるので、当てはまりません。

 

ただ、この問いで、農夫の一生まで想起できることが、本当に身につけて欲しい能力です。もちろん、他の視点からでも構わないとは思いますが、新しい登場人物を足すとかやり過ぎない程度でとなると、この発想が浮かぶ可能性があります。

 

4 この農夫はどうすれば最も幸せだったのか?

この問いは先ほどの「黄金の卵を発見してしまったこと」を失敗と捉えていると、その逆を考えれば良いので、「黄金の卵を発見しなかったら」や「発見しても市場に持っていかなかったら」という風に考えると導きやすいでしょう。

 

でも、そうでなければ、この問いは難しいです。物語をどこまで想起できるかで、この問いの答えやすさが変わるのです。

 

この問いでは多くの人が、「~ならば」というストーリーを考えて、どうなったかを予測しなければなりません。仮定形で聞いているので、物語の想起力が問われてしまうのです。そして、この箱を一番大きくして、いっぱい書けるようにしておきました。

 

ここで考えていた私の子どもの解答は、「ガチョウを殺さずに飼い続ける」です。「裕福な生活を続ける=幸せ」という図式が一番簡単だからです。でも、この発想には「欲が出てせっかちになっている農夫」の姿が抜け落ちています。果たして、ずっとイライラした状態が幸せなのか?ということを考えられていないので、想起力としては物足りないものになってしまいます。

 

例えば、この解答で農夫のことを考えると、「ガチョウを増やして黄金の卵をたくさん手に入れたら」というような、生産性を上げるというものがあるかなと思います。「黄金の卵を産むガチョウに栄養をたっぷり与えて、1日2個産んでもらう」とかもいいですね。でも、この農夫は欲が出ちゃうので、もっと欲が出るかもしれません。が、そのたびに、生産性と高めることを押さえておけば想像の範囲だと思います。

 

5 物語の想起力 +α

物語の想起力がどれくらいあるのか、設問ごとの解答でチェックしていました。後ろに行けば行くほど、条件が想起しやすくなるので、最初の段階から想起が始まっていれば、非常に想起力が高いのです。最初に「感じる」の部分では、自分の思いだけを答えやすいですが、そこで、違う事柄と結びつけて考える想起力を持つと非常に強いです。

 

想起力を確かめて、どの部分が想起で、どの部分が事実なのかを明確に区別することができると、小説問題でも客観的に読めるようになってきます。

 

ちょっとだけ国語っぽい試し方ですが、国語でやったわけではありません。そして、想起力の仕上げです。

 

この話から、「自分たちに置き換えて考えるとどうなるか」を想起します。

 

(  )と(    )能力のバランス

 

この( )を埋めてもらいました。本当はもう少し( )は長いんですけどね。

 

黄金の卵を産むガチョウは、「1日1個」です。これがガチョウの「こなせる量」です。これを高校生に置き換えたら、勉強のできる「量」になります。

 

農夫はその量をたくさん手に入れようと思って、無理矢理お腹をこじ開けました。これは、テスト前に慌てて量をこなそうとして徹夜することと似ています。無理矢理やったらどうなるか、あとでそれを取り戻さなければなりませんし、疲れて体調を崩すかもしれません。そうならないためには、「こなせる能力」を高めないといけません。

ガチョウの卵を産む能力を鍛えるか、ガチョウの数を増やして卵を増やすかという選択が考えられ、「こなせる能力」を高めることで成功に近づけるという意味です。

 

まぁ、( )のはめ方は自由ですが、「量」と「こなせる」(能力)を落とし込めると一つの想起になるかなと思います。

 

これは、あくまでも一例です。

条件が異なれば変わってきます。

 

このとき、中学校の勉強では太刀打ちできなくなってきて、悩む生徒が増えている時期でした。勉強しているのに実力が伴わない、やっても意味が無い、そういう声が増えてきたのです。

ただ、勉強方法を変えなさいとだけ言っても、なかなか変わらないので、寓話を使って伝えようとしたのです。

 

黄金の卵を見つけて裕福になった農夫が、中学校までの状態。

黄金の卵をもっと欲しいと思っている農夫が、今の状態。

黄金の卵を手に入れようとガチョウを殺す農夫が、そのままの状態でいた未来の状況。

 

つまり、もっと卵が欲しいと思うのであれば、「こなせる能力」を高めることが必要だということです。勉強の「質」を高めようという意味も伝えました。「時間」だけかければいいという問題ではないということです。

 

まぁ、そんなことを伝えようとしていた話を思い出したので、書いてみました。別にどんな話でも良いんですが、たまたま読んだ本にこの寓話があったので、使ってみました。能力チェックと伝えたいことが伝えられたので、結構使えた話だなぁと思っています。